雇用保険の種類

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雇用保険のしくみ

雇用保険は失業時に一定期間給付が受けられる失業給付(失業保険)のほかにも多種多様な給付があり、給付対象で分けると「失業者向け」「就業者向け」「会社向け」の大きく3種類があります。
給付の請求、資格取得や喪失の届出などの手続きの窓口は公共職業安定所(ハローワーク)になります。

各給付の概要を解説します。

<目 次>

  1. 失業者(求職者)に対する給付
  2. 就業者(従業員)に対する給付
  3. 事業主(会社)に対する給付

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1.雇用保険カテゴリ - 失業者・就労者

1-1.求職者給付

求職活動をしている失業者の生活を保護し、再就職のための技能習得を援助するための給付です。俗に言う失業保険・失業手当もここに含まれます。

雇用保険制度では加入者(被保険者)を勤務形態や年齢によって4つに分類し、それぞれに異なる基準で異なる給付を行います。
一般社員やパートタイマーなどは「一般被保険者」、65歳以上の労働者は「高年齢継続被保険者」、日雇い労働者は「日雇労働被保険者」、季節労働者は「短期雇用特例被保険者」に分類されます。
【参考】雇用保険の加入条件


◆一般被保険者に対する給付

  • 基本手当(失業手当)
    失業後、求職活動をしている一定期間給付金が支給されるものです。以前は失業手当と呼ばれていました。失業理由や雇用保険への加入日数、加入中の給与額などによって、受給の可否、受給額、受給期間などが決まります。

  • 技能習得手当
    ハローワークなどで募集している公共職業訓練を受講した場合に支給されます。受講日数に応じて支給される「受講手当」と、交通費にあたる「通所手当」があります。

  • 寄宿手当
    公共職業訓練を受講するために転居することとなり、同居して生計を維持していた親族と別居することになった場合に支給されます。

  • 傷病手当
    公共職業安定所(ハローワーク)で求職の申込みをして求職活動中の者が、病気やケガが原因で15日以上活動できない状態が続いた場合に支給されます。

◆高年齢継続被保険者に対する給付

  • 高年齢求職者給付金
    一般被保険者の「基本手当」にあたるものです。失業時に給付金が支給されます。

◆短期雇用特例被保険者に対する給付

  • 特例一時金
    一般被保険者の「基本手当」にあたるものです。ただし、給付が受けられるのは失業が認定された時の一回限りです。

◆日雇労働被保険者に対する給付

  • 日雇労働求職者給付金
    一般被保険者の「基本手当」にあたるものです。失業時に給付金が支給されます。被保険者資格を得るための手続きを労働者本人が行わなければならないため注意が必要です。

1-2.就職促進給付

失業者のすみやかな再就職を援助し、促進するための給付です。
主に就職が決まった時や、就職後一定期間継続して働いた時などに支給されます。

◆就職促進手当

  • 再就職手当
    失業後に基本手当(失業手当)の受給資格を得た求職者が、早期に安定した職業に就くか、または自分で事業を始めた時に支給されます。早く再就職するほど支給額も多くなります。

  • 就業促進定着手当
    再就職手当を受給した人が再就職先に6ヶ月以上雇用され、その間の賃金が前職の賃金よりも低い場合に支給されます。

  • 就業手当
    基本は再就職手当と同じです。早期に就職が決まったものの、雇用期間が1年未満と短い場合に支給されます。派遣社員、パート、アルバイトなどのケースです。

  • 常用就職支度手当
    基本は再就職手当と同じです。中高齢者や障害のある方などの就職困難者が安定した職業に就いた時に支給されます。

◆その他の給付

  • 移転費
    公共職業安定所(ハローワーク)の紹介で決まった就職先に勤務するために、または公共職業訓練等を受講するために引っ越しが必要になった場合に、その移転に要する費用が支給されるものです。

  • 広域求職活動費
    ハローワークの紹介する求人に応募し、面接などで遠隔地までの移動が生じた場合に、交通費や宿泊費に相当する金額が支給されるものです。
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2.就業者(従業員)に対する給付

2-1.教育訓練給付

各種の教育訓練講座を受けた従業員を援助するための給付です。

  • 教育訓練給付金
    厚生労働大臣の指定する教育訓練を受講した者に対して受講料の一部が支給されるものです。

2-2.雇用継続給付

高年齢の従業員、育児休業者、介護休業者が働き続けられるように援助するための給付です。


◆高年齢雇用継続給付

60歳以上65歳未満の就業者で、雇用保険の加入期間が通算して5年以上ある人が対象です。

  • 高年齢雇用継続基本給付金
    基本手当等を受給せずに60歳以後も働いており、60歳以後の毎月の賃金が、60歳となった時点における賃金月額の75%未満に低下した場合に支給されます。

  • 高年齢再就職給付金
    基本手当(失業手当)を受給し、60歳を過ぎてから受給残日数が一定以上残っている状態で再就職し、再就職後の毎月の賃金が基本手当の基準となった賃金月額の75%未満である場合に支給されます。

◆育児休業給付 と 介護休業給付

  • 育児休業給付
    雇用保険に加入する就業者が、1歳未満の子(例外あり)を養育するために育児休業を取得した場合に支給されます。ただし、育児休業中の賃金や勤務日数が一定水準以上の場合は対象となりません。

  • 介護休業給付
    雇用保険に加入する就業者が、家族を介護するために休業した場合に支給されます。ただし、介護休業中の賃金や勤務日数が一定水準以上の場合は対象となりません。

3.事業主(会社)に対する給付

雇用保険は従業員の失業を防ぐために、主に中小企業を対象として会社側にも様々な助成金や給付金を支給しています。一例として以下のようなものがあります。


  • 「キャリアアップ助成金」
    一定の雇用期間が定められている労働者、いわゆる非正規雇用の労働者の企業内でのキャリアアップ等を促進するため、これらの取り組みを実施した事業主に対して助成金を給付する

  • 「特定就職困難者雇用開発助成金」
    高齢者・障害者・母子家庭の母などの就職困難者を雇用した会社に賃金の一部を補助する

  • 「トライアル雇用奨励金」
    職業経験、技能、知識などが不足しているために安定的な就職が困難な求職者を一定期間試行雇用した場合に助成金を給付する

会社に対する給付は、「積極的に失業者を雇用したり職業訓練を行っている」、「高年齢者・障害者・母子家庭の母などの就職困難者を雇い入れている」、「育児や介護による休業取得を促進している」、「賃金や労働時間など労働条件の向上を図っている」など、雇用の促進や職場環境・労働条件の改善に積極的に取り組む会社を対象としたものです。

非常に多種多様な給付があるため、ここでの解説は省略します。

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