労災保険とはどんな制度?

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労災保険の概要


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1.労災保険はどんな保険?

病気やケガに対する保険

労災保険とは、仕事中や通勤中に事故・災害にあって、ケガをしたり、病気になったり、体に障害が残ったり、死亡した場合などに保障を行う制度です。また、災害にあった被保険者の社会復帰や、被保険者の遺族への援助なども行います。

1-1.健康保険との違い

通勤途中や仕事中におけるケガや、仕事内容が関係する病気などが労災保険の範囲であるのに対し、仕事中や通勤中以外でのケガ、出産、仕事に関係のない病気などは健康保険の範囲になります。

1-2.社会保険や労働保険の一種

社会保険とは日本の社会保障制度の一つで、病気やケガ、事故、失業、老後の生活などのリスクに備えて、国民の生活を保障するために設けられた公的な保険制度です。
広義(広い意味)の社会保険には、「医療保険(健康保険)」、「年金保険」、「介護保険」、「雇用保険」、「労災保険」の5つが含まれます。また、雇用保険と労災保険を合わせて「労働保険」と呼びます。


2.労災保険の加入条件

2-1.労災保険には入ったほうが良いの?

労災保険に入る、入らないは自分で決められるものではありません。
従業員の保護を目的とした労災保険は、労働者一人一人が個人で加入するものではなく、事業所(会社)が加入し、その会社で働く人全員に適用される保険です。

原則として従業員を雇用している全ての事業に適用され、一人でも労働者を雇用している事業所は、事業を始めた日から強制的に労災保険の適用事業所となります。

労災保険が適用されない人・事業

以下の事業は例外として労災保険が適用されません。

  • 従業員が5人未満の個人経営の農業・水産業
  • 常時使用する従業員がいない個人経営の林業
  • 国の直轄事業、国や地方の官公署(代わりに労災保険と同等の独自の制度があります)

また、以下の人々は労災保険が適用されません。

  • 事業主や法人役員(兼務役員は除く)
    → 中小企業の事業主等であれば「特別加入制度」が利用できます。
  • 従業員で、事業主と同居する親族

2-2.パートやアルバイトでも入れるの?

労災保険には従業員の加入要件がありません。正社員やパートタイマー、臨時雇いなどの雇用形態に関係なく、会社から賃金の支払いを受ける人はすべて労災保険の適用を受けることになります。
極端な例で言えば、ある事業所で1日だけのアルバイトをした人でも、そこで災害にあってケガをすれば労災保険の給付が受けられます。

2-3.労災保険に加入していなかった場合は?

従業員を雇っているのに労災保険に加入していなかった(加入手続きを怠っていた)事業所で労災事故が起こった場合でも、給付の申請を行うことができます。こうした場合、事業所は事業開始時期までさかのぼって保険料を納めなければならないほか、違反金も支払わなければなりません。


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3.給付の種類・給付金額

◆主な保険給付(概要)


給付が受けられるケース保険給付の種類給付の内容・金額
ケガや病気で治療を受けた療養(補償)給付必要な療養費の全額
療養のため休業する休業(補償)給付休業4日目から、休業1日につき給付基礎日額の80%相当額
療養を開始後1年6ヶ月で治癒せず、傷病等級に該当する傷病(補償)年金こちらを参照
障害が残った障害(補償)給付
常時または随時介護が必要となった介護(補償)給付
死亡した遺族(補償)給付、葬祭料(葬祭給付)
脳・心臓に異常がある二次健康診断等給付

※業務上災害による給付を「〜補償給付」といい、通勤災害による給付を「〜給付」という。

障害の具体的な等級や、詳しい給付内容・金額などについては別項で解説しています。


4.給付の申請手続き

4-1.各種手続きの窓口

保険給付の申請、労災保険の加入申請、保険料の申告などの窓口は、会社の所在地を管轄する労働基準監督署です。

4-2.給付を受けるための手続き

ケガ、病気、死亡などの災害の内容や事故の内容によって手続きの方法や手順は異なります。
基本的には医師の診断書などの必要書類を揃えて、給付金の支給請求書と共に労働基準監督署に提出します。
個人で手続きを行うのは大変なので、通常は会社が手続きを行ったり、会社の指示に従って書類を作成することになります。

具体的な手続きの内容・やり方・書類の記入例などについては、厚生労働省のサイトでパンフレットが公開されていますので、そちらを参照してください。


5.保険料と申告・納税

◆保険料は毎月給料から差し引かれるの?

雇用保険の保険料の場合は会社と労働者とで負担し、労働者負担分は毎月の給与から徴収されます。それに対し、 労災保険の保険料は全額会社(事業主)が負担し、従業員の給与からは控除されません。

◆保険料の計算と申告

労災保険料は従業員の賃金に一定割合(労災保険料率)を乗ずることで計算します。
労災保険料は、同様にして算出した雇用保険料といっしょに「労働保険料」として年に1回、申告・納付する必要があります。
具体的なやり方については別項で解説しています。



関連項目

労災保険についてより詳しく知りたい場合は、公的機関のサイト等を参照してください。


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