雇用保険の求職者給付
「日雇労働求職者給付金」

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日雇い労働者に対する失業給付


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1.はじめに

1-1.日雇い労働者の定義

雇用保険における日雇い労働者とは、雇用期間の定めがなく日ごとに単発の仕事をしている人や、または雇用期間が30日以内の人を指します。

簡単に言えば「単発派遣」と「30日以内の短期派遣」です。建設現場や港湾運輸、農林水産などの土工、荷扱夫、雑役、人夫などの仕事に多いです。

1-2.日雇い労働者に対する雇用保険

雇用保険に加入する者(被保険者)は、年齢や雇用形態によって4種類に分けられ、それぞれ被保険者となるための条件、給付の種類・内容などが異なります。
一般社員や、それに準ずる非正規労働者は、雇用保険の「一般被保険者」又は「高年齢継続被保険者」と呼ばれます。日雇い労働者は「日雇労働被保険者」という区分になります。他に季節労働者に対する区分もあります。


2.日雇労働求職者給付金とは

雇用保険の求職者給付の中で最も一般的なのが、失業後の求職活動中に給付金が支給される「基本手当(失業手当)」です。

基本手当は雇用保険の「一般被保険者」に対する失業給付です。日雇労働被保険者に対して基本手当の代わりに支給される失業給付が日雇労働求職者給付金です。


2-1.給付を受けるための条件・受給までの流れと手続き

1.雇用保険に加入する

日雇労働者の場合、雇用保険に加入するための前提条件は「雇用保険の適用事業者(所)に雇用されている」の一点だけです。契約期間や勤務時間数などの細かな条件はありません。

日雇以外の雇用形態の場合、雇用保険の加入条件を満たしていれば会社が加入手続きを行います(行わなければなりません)。
しかし日雇労働者の場合は一つの会社で働く期間が短く、日ごとに別の会社で働くケースもあることから、加入の手続きは労働者本人が行う必要があります。

具体的には、雇用保険の適用事業所で日雇いで仕事を始めたら、速やかにハローワークへ行って下記の書類を提出します。

  • 日雇労働被保険者資格取得届(ハローワークで配布)
  • 住民票の写しなど住所を確認できる公的書類(事前に準備)
  • 日雇労働被保険者派遣登録証明書(派遣会社に請求して準備しておく)

内容に特に問題がなければ日雇労働被保険者と認可され、日雇労働被保険者手帳(日雇手帳)が配布されます。

※日雇労働者であっても、同じ事業主の元で31日以上継続して日雇で働いたり、2ヶ月続けて18日以上日雇いで働いている場合は、フルタイムの一般社員と同じ一般被保険者となり、基本手当を受給できます。
該当する場合は会社やハローワークに相談しましょう。

2.仕事をした日は手帳に印紙を貼り付けてもらう

仕事をして賃金の支払いを受ける際に、日雇手帳を派遣会社などの事業主(雇い主)に提出し、働いた日数分の雇用保険印紙を該当日欄に貼り付け・消印してもらいます。日ごとに賃金の支払いを受けているなら、その度に1枚ずつ貼り付けてもらいます。20日働けば20枚の印紙を貼り付けてもらうことになります。
事業主は労働者から手帳の提出を受けたら必ず印紙の貼付・消印をしなければなりません。

実際には、初めに勤務先の派遣会社等に手帳を提出し、会社の担当者が労働者が勤務した日に貼付しておいてくれるケースが多いです。

日雇手帳を提出していない期間は印紙も貼り付けてもらえず給付を受ける際に不利になります。日雇いでの勤務が決まったら、できるだけ早くハローワークで手帳発行の手続きを行いましょう。

3.失業時に受給条件を満たしているか確認する

失業後に日雇労働求職者給付を受けるためには以下の要件のいずれかを満たす必要があります。


  1. 失業(退職)した月の直前の2ヶ月間で、手帳に印紙を貼付・消印してもらった日数が合計26日以上
  2. 働いていた期間のうちの連続する6ヶ月の間に、手帳に印紙を貼付・消印してもらった日数が各月11日以上、かつ、合計78日以上

1による給付を「普通給付」、2による給付を「特例給付」といいます。

1の例では、6月15日に離職した場合、4〜5月の2ヶ月の間に合計26日以上働き、26枚以上の印紙を手帳に貼付・消印してもらっていれば給付金が受給できます。

2の例では、1月〜12月まで1年間働いた後に離職した場合、例えば4月〜9月の6ヶ月間、毎月11日分以上の印紙を貼り付けてもらっており、合計で78日分以上あれば受給できます。
※ただし特例給付については更に以下の条件があります。

  • 連続6ヶ月のうちの最後の5ヶ月の間に普通給付または特例給付を受けていないこと
  • 連続6ヶ月の翌月以降2ヶ月間に普通給付を受けていないこと。

先に述べた2の例で見るなら、5〜9月の5ヶ月間または10〜11月の2ヶ月間に既に一度日雇労働求職者給付を受けていた場合は、再度給付を受けることはできないということです。

4.ハローワークで失業の認定を受けて給付を受ける

失業したらハローワークを訪れて「失業の認定」を受けます。

認定を受けるためには、ハローワークで求職の申込みを行った上で、下記の必要書類を提出します。

  • 雇用保険日雇労働被保険者手帳(日雇手帳)
    →受給条件を満たす枚数分の印紙が貼られているもの
  • 労働者派遣契約不成立証明書
    →退職前に会社から発行してもらいます。本人の辞退によって派遣されなかった場合は発行されません
  • 失業の認定(および不就労日)に関する届書
    →ハローワークで記入する書類です

失業認定日は「普通給付」「特例給付」とで異なります。

<普通給付の場合>

失業の認定は毎日、その日ごとに行われます。実際の給付金も失業の認定を受けた日数分が支給されます。
つまり、ある1日しか失業の認定を受けなかったとしたら1日分の給付しか受けられません。より多くの給付を受けるには、毎日ハローワークを訪れて失業の認定を受ける必要があります。

<特例給付の場合>

失業の認定は支給の申出を行った日から数えて4週間に1回ずつ認定が行われます。認定を受けるごとに24日分の給付金が一括支給されます。

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2-2.支給額について

1日分の支給額(日額)は、失業(退職)月の直前2ヶ月間の、日雇手帳の印紙の種類と枚数によって決まります。つまり、2ヶ月間の勤務日数と日給が多いほど、支給額も大きくなるということです。
※印紙は1級から3級まで3種類があり、日給が大きいほど等級の大きな印紙が手帳に貼られます。

<失業前の賃金と印紙の種類>

賃金日額印紙の種類印紙1枚の価格(保険料)
11,300円以上1級印紙176円
8,200円〜11,299円2級印紙146円
8,199円以下3級印紙96円

印紙は事業主(会社)が購入して準備しますが、印紙の購入代金が雇用保険料となるため、労働者が半額を負担します(給与から差し引かれます)。

<支給される日雇労働求職者給付金(日額)>

給付金(日額)2ヶ月間の印紙の枚数と種類
7,500円1級印紙が24枚以上
6,200円1級と2級の合計が24枚以上
6,200円1級と2級の合計が24枚未満で、1級、2級、3級の順に選んだ24枚の印紙代金(保険料)の平均が146円以上
4,200円上記以外

2-3.支給日数について

給付金は最大で何日分まで受給できるか決まっており、更に普通給付特例給付とで判定方法が異なります。

<普通給付の場合>

失業(退職)月の直前2ヶ月間の、日雇手帳の印紙の枚数によって決まります。

給付日数2ヶ月間の印紙の枚数
13日26〜31枚
14日32〜35枚
15日36〜39枚
16日40〜43枚
17日44枚以上

<特例給付の場合>

4週間に一度ハローワークで行われる失業認定を受けるごとに、24日分の給付金が支給されます。
合計60日分が上限です。ただし、受給条件にあった「連続する6ヶ月」の後の4ヶ月間が受給期限で、それを過ぎると給付日数が残っていても給付は受けられなくなります。

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