雇用保険の教育訓練給付
「教育訓練給付金」

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教育訓練の受講者への給付


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1.教育訓練給付金とは

国や地方公共団体は、働く人の職業能力の向上を目的とした教育訓練を行っています。教育訓練を受講した者が一定の条件を満たした場合に、受講料の一部が支給されるのが教育訓練給付金です。既に会社等で働いている就業者と、失業中の求職者の両方が給付を受けられます。

教育訓練給付金は、受講する教育訓練の内容によって一般教育訓練給付金専門実践教育訓練給付金の2種類があり、それぞれ支給条件や支給額が異なります。

専門実践教育訓練給付金は、特定の専門職の資格取得を目指す「専門実践教育訓練」の受講者に対して支給され、一般教育訓練給付金はそれ以外の教育訓練の受講者に対して支給されます。

◆専門実践教育訓練の対象となる講座

1.業務独占資格・名称独占資格の取得を目標とする養成施設の課程

国や地方公共団体の指定を受けて実施され、訓練を終えることで「公的資格が取得できる」または「公的資格試験の受験資格を取得できる」または「公的資格試験の一部が免除される」課程のみが対象です。
また、訓練期間が1年以上3年未満で、資格の取得に必要な最短の訓練期間でなければなりません。

業務独占資格とは資格を持たずに業務を行うことが法令で禁止されている資格で、名称独占資格とは資格がなくても業務はできるが、その名称の使用は法令で禁止されている資格です。

<対象となる業務独占資格>

  • 助産師、看護師、准看護師、診療放射線技師、臨床検査技師、理学療法士、作業療法士、視能訓練士、言語聴覚士、臨床工学技士、義肢装具士、救急救命士、歯科衛生士、歯科技工士、あん摩マッサージ指圧師、はり師・きゅう師、柔道整復師、美容師、理容師、測量士、電気工事士、建築士、海技士、水先人、航空機操縦士、航空整備士

<対象となる名称独占資格>

  • 保健師、調理師、栄養士、介護福祉士、社会福祉士、精神保健福祉士、保育士、製菓衛生師など
2.専門学校の職業実践専門課程

専修学校の専門課程のうち、企業などとの連携により最新の実務知識などを身につけられるよう教育課程を編成したものとして文部科学大臣が認定したもの。訓練期間は2年。

3.専門職大学院

高度専門職業人の養成を目的とした課程。訓練期間は2年〜3年以内。


◆講座の検索

一般教育訓練給付金と専門実践教育訓練給付金の対象となる講座が検索できるサービスも公開されています。


2.給付を受けるための条件・対象者

2-1.一般教育訓練給付金

一般教育訓練給付金の支給を受けるには、厚生労働大臣が指定する一般教育訓練を修了していることが大前提ですが、その他にも以下の要件を満たす必要があります。

1.現在、雇用保険の一般被保険者である人の場合

  • 一般教育訓練の受講開始日において雇用保険の一般被保険者であり、支給要件期間が3年以上
2.以前、雇用保険の一般被保険者だった人の場合

  • 一般教育訓練の受講開始日において雇用保険の一般被保険者ではなく、一般被保険者資格を喪失した日(退職日の翌日)から受講開始日までの期間が原則1年以内で、支給要件期間が3年以上
現在、暫定的な措置として、始めて教育訓練給付金を受ける者に限っては支給要件期間が1年で済むことになっています(1,2の両方)。

※雇用保険の「一般被保険者」に該当するのは、フルタイムで働く一般社員や、勤務条件が一般社員に準ずる非正規労働者で、更に65歳未満の方です。65歳以上の方や、季節労働者、日雇い労働者は保険者区分が異なるため対象外となります(参考:被保険者の種類)。

※「受講開始日」は教育訓練の開講日です。通信制の講座の場合は教材等の発送日です。

※「支給要件期間」とは受講開始日のまでの間に雇用保険の一般被保険者だった期間です。転職などで勤め先(事業主)が変わった場合は直近の勤め先での被保険者期間になりますが、転職の間の期間が1年未満だった場合は、転職前の勤め先での被保険者期間も加算できます。

※保険者資格の喪失から受講開始日までの期間は原則として1年ですが、基本手当の適用対象期間の延長を受けている場合は最大で4年まで伸ばせます。

受給条件については判りにくい部分も多いので、厚生労働省による案内も参考にしてください。


2-2.専門実践教育訓練給付金

専門実践教育訓練給付金の支給を受けるには、厚生労働大臣が指定する専門実践教育訓練を修了する見込みで受講している、または既に修了していることが大前提であり、その他に雇用保険に関する一定の条件も満たさなければなりません。
雇用保険に関する条件については、前述した一般教育訓練給付金の受給条件と基本的に同じです。異なるのは以下の2点だけです。

1.支給要件期間

支給要件期間に関する条件は、一般教育訓練給付金の場合は「3年以上」でしたが、専門実践教育訓練給付金の場合は10年以上になります。
※始めて教育訓練給付金を受ける者の場合は2年以上で済みます。

2.事前コンサルティングが必要

専門実践教育訓練給付金の支給を受けるには、受講開始日前に訓練対応キャリアコンサルタントによる訓練前キャリアコンサルティングを受けなければなりません。
ただし、在職者の場合に限り、本人が専門実践教育訓練を受講することを、勤務先の会社が受講開始日前に承認し、これを証明した場合はコンサルティングは必要はありません。


専門実践教育訓練給付金の受給条件については、厚生労働省による案内も参考にしてください。

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3.支給額について

3-1.一般教育訓練給付金の支給額

一般教育訓練を修了した場合に、受講者が支払った教育訓練経費20%にあたる金額が支給されます。
ただし支給額は最大で10万円までです。また、4千円未満の場合は支給されません。

3-2.専門実践教育訓練給付金の支給額

専門実践教育訓練を受講している間と、修了した後の計2回支給されます。

受講中の支給額

受講者が支払った教育訓練経費40%にあたる金額が支給されます。
ただし支給額は訓練期間が1年の場合は32万円、2年の場合は64万円、3年の場合は96万円が上限です。また、4千円未満の場合は支給されません。

修了後の支給額

資格等を取得し、講座を修了した日の翌日から1年以内に雇用保険の一般被保険者となった場合は、教育訓練経費の60%にあたる金額を計算し、その金額と、受講中に支給された金額の差額分、つまり20%分が支給されます。

よって、ここに示した条件まで全て満たせば、合計で教育訓練経費の60%が支給されることになります。
ただし支給額は訓練期間が1年の場合は48万円、2年の場合は96万円、3年の場合は144万円が上限です。また、4千円未満の場合は支給されません。

◆教育訓練経費とは

受講者が支払った入学料と受講料の合計です。以下のようなものは含まれません。

  • 検定試験の受験料、受講に必須ではない補助教材費、補講費、教育訓練施設が実施する行事への参加費用、将来現金で還付される予定の費用(学債など)、交通費、パソコンなどの器材の費用、クレジット会社に対する手数料、給付金の支給を申請する時点で未納の入学料や受講料など

また、入学料や受講料が割引制度などで通常より安かった場合は、割引後の金額が教育訓練経費となります。


4.受講から給付金の支給までの流れ・手続き

一般教育訓練給付金についてはこちらを参照してください。

専門実践教育訓練給付金についてはこちらを参照してください。



関連項目


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