雇用保険の就職促進給付 「広域求職活動費」 |
遠隔地への求職活動を行った者への給付
1.広域求職活動費とは
公共職業安定所(ハローワーク)の紹介によって遠方で就職活動を行い、交通費や宿泊費がかかった場合に、その分の費用が支給されるものです。
「広域求職活動」とは、現在の居住地を管轄するハローワークの管轄区域外にある求人企業の事業所を訪問し、求人企業との面接や事業所の見学を行うことをいいます。
2.給付を受けるための条件・対象者
まず、失業後にハローワークに離職票を提出して、雇用保険の受給資格を得ていること、つまり雇用保険受給資格者証を持っていることが前提です(参考)。
そのほかに、以下の要件を全て満たしていなければなりません。
- 遠隔地の求人に応募し、広域求職活動によって遠方まで移動した
- 応募した会社から訪問時の費用が支給されていない、または支給額が実際にかかった費用に満たない
- 雇用保険のの給付期間内に就職活動を開始した
- ハローワークが紹介した求人であり、更に、1年以上雇用される見込みがある
それぞれの要件について詳しく解説します。
要件1.遠方への移動を伴う就職活動について
「広域求職活動」に該当するのは、現在雇用保険の受給手続を行っている(現住所地を管轄する)ハローワークの管轄地域外にある事業所への就職活動です。
更に、現住所地を管轄するハローワークから、訪問先の会社の所在地を管轄するハローワークまでの往復距離が、鉄道で300キロメートル以上なければなりません(バスなどの場合は250メートルを1キロに換算)。
そして広域求職活動のために、実際にこれらの条件を満たしている会社またはその関連施設を訪問していることが条件です。
要件2.訪問先事業所による費用負担について
広域求職活動時に、訪問先の会社が自社までの交通費等の費用を負担してくれることもあります。
こうした費用負担を受けていない、または受けていても実際にかかった費用よりも少ない場合のみ広域求職活動費の支給対象となります。
※後者の場合、費用負担を受けた金額分、広域求職活動費の支給額が減ります。
要件3.就職活動の開始時期について
雇用保険の受給資格を得た日から7日間の期間を待期期間といいます。また、自己都合で退職した者は、待期期間の直後に3ヶ月の給付制限期間があります(参考:基本手当の給付開始日)。
これらの期間は雇用保険による各種給付を受けられないことになっており、この期間内に広域求職活動を開始した場合は支給を受けられません。
要件4.求人の紹介元と雇用期間について
ハローワークが紹介する求人への応募でなければなりません。民間の職業紹介事業者による紹介や、就職情報誌やチラシなどを見て自分で応募した場合などは対象外となります。
また、応募した求人の雇用契約期間が1年以上でなければなりません。
3.支給額について
広域求職活動費の支給額は、一定の基準で計算された次の費用の合計額となります。
<交通費>
- 本人の居住地を管轄するハローワークと、訪問した会社の所在地を管轄するハローワークの間を往復した場合の賃料(鉄道賃、船賃、航空賃、車賃など)
<宿泊費>
- 上記のハローワーク間の往復距離と、訪問した会社の数に応じて定められた宿泊料。ただし、鉄道で往復400km未満の場合は支給されない
※応募先の会社(事業主)から訪問費用の支給があった場合は、その金額分が控除されます。
4.支給されるまでの流れ・手続き
広域求職活動費の支給を受けるには、遠隔地の会社への紹介を受けた日の翌日から10日以内に、ハローワークに以下の必要書類を提出して申請を行わなければなりません。
- 広域求職活動費支給申請書
→ハローワークでもらえるほか、インターネットを利用して入力・印刷することも可能です(こちら)。 - 雇用保険受給資格者証
→雇用保険(基本手当)の受給資格の決定後に開催される受給説明会で渡されます(参考)。 - 航空賃の申請がある場合は、領収書など支払った額が確認できる書類
※航空賃の申請がある時は、会社訪問の後に領収書等を提出することになります。
申請後に「広域求職活動面接証明書」が交付されます。これは会社訪問時に必要となるため、複数の会社を訪問する場合はその分の枚数をもらいましょう。
後日、面接等で会社を訪問した際に、「広域求職活動面接証明書」の会社記入欄を記入してもらいましょう。これが会社を訪問した証明になります。
「広域求職活動面接証明書」にはハローワークに記入してもらう欄もありますので、ハローワークにも提出して、それぞれに証明をもらいます。順序はどちらが先でも構いません。
会社とハローワークから証明を受けた「広域求職活動面接証明書」を、会社で証明を受けた日の翌日から10日以内にハローワークに提出します。
証明書の内容が審査され、問題がなければ指定した銀行口座に広域求職活動費が振り込まれます。
審査にはある程度の日数がかかります。
支給されないケース
以下のようなケースでは広域求職活動費は支給されず、また既に支給されていた場合は全部又は一部を返還する必要があります。
- 紹介を受けた求人事業所への訪問面接を行わなかった
- 元の居住地に戻らなかった
- その他不正があった
関連項目
- 「移転費」:就職先に勤務するために転居が必要になった者への給付