基本手当(失業手当・失業保険)の給付における「就職困難者」について

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雇用保険における就職困難者とは?

心身に障害のある者(障害者)などは「就職困難者」とされ、それ以外の者よりも長い期間、基本手当(失業給付)を受給できたり、受給に必要な求職活動の回数が少なくて済むなどの優遇措置を受けられます。
どういった人が就職困難者に該当するのか、及び、基本手当の給付においてどういったメリットがあるのか解説します。


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1.就職困難者とは

就職困難者に該当するのは、身体障害者、知的障害者、精神障害者、保護観察中の者、社会的事情により就職が著しく阻害されている者等です。
それぞれ詳しく解説します。

1-1.「身体障害者」の定義

障害者の雇用の促進等に関する法律第2条第2号の身体障害者

身体障害者の確認は、求職登録票又は身体障害者手帳により行うものとするが、身体障害者とは具体的には次の身体障害がある者をいう


  1. 次に掲げる視覚障害で永続するもの
    • 両眼の視力(万国式試視力表によって測ったものをいい、屈折異状がある者については矯正視力について測ったものをいう。以下同じ)がそれぞれ0.1以下のもの
    • 1眼の視力が0.02以下、他眼の視力が0.6以下のもの
    • 両眼の視野がそれぞれ10度以内のもの
    • 両眼による視野の1/2以上が欠けているもの
  2. 次に掲げる聴覚又は平衡機能の障害で永続するもの
    • 両耳の聴力レベルがそれぞれ70デシベル以上のもの
    • 1耳の聴力レベルが90デシベル以上、他耳の聴力レベルが50デシベル以上のもの
    • 両耳による普通話声の最良の語音明瞭度が50パーセント以下のもの
    • 平衡機能の著しい障害
  3. 次に掲げる音声機能、言語機能又はそしゃく機能の障害
    • 音声機能、言語機能又はそしゃく機能の喪失
    • 音声機能、言語機能又はそしゃく機能の著しい障害で、永続するもの
  4. 次に掲げる肢体不自由
    • 1上肢、1下肢又は体幹の機能の著しい障害で永続するもの
    • 1上肢のおや指を指骨間関節以上で欠くもの又はひとさし指を含めて1上肢の2指以上をそれぞれ第1指骨間関節以上で欠くもの
    • 1下肢をリスフラン関節以上で欠くもの
    • 1上肢のおや指の機能の著しい障害又は人差し指を含めて1上肢の3指以上の機能の著しい障害で、永続するもの
    • 両下肢のすべての指を欠くもの
    • 以上の障害と同等程度以上であると認められる障害
  5. 心臓、じん臓又は呼吸器の機能の障害その他政令で定める障害(ぼうこう又は直腸の機能の障害、小腸の機能の障害、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能の障害)で、永続し、かつ日常生活が著しい制限を受ける程度であると認められるもの

1-2.「知的障害者」の定義

障害者の雇用の促進等に関する法律第2条第4号の知的障害者

知的障害者とは、児童相談所、知的障害者更生相談所、精神保健福祉センター、精神保健指定医又は法第19条の障害者職業センターにより知的障害があると判定された者をいうものであり、その確認は、求職登録票又は療育手帳により行うものとする


1-3.「精神障害者」の定義

障害者の雇用の促進等に関する法律第2条第6号の知的障害者

精神障害者とは、障害者のうち次の1又は2のいずれかに該当するものであって、症状が安定し、就労が可能な状態にある者をいう


  1. 精神保健福祉法第45条第2項の規定により精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている者
  2. 統合失調症、そううつ病(そう病及びうつ病を含む)又はてんかんにかかっている者
    ※うつ状態は就職困難なものに該当しない

1-4.「保護観察中の者」の定義

刑法第25条の2第1項、更生保護法第48条又は売春防止法第26条第1項の規定により保護観察に付された者及び更生保護法第85条第1項各号に掲げる者であって、その者の職業のあっせんに関し保護観察所長から安定所長に連絡があった者


1-5.「社会的事情により就職が著しく阻害されている者」の定義

以下のいずれかに該当する者


  1. アイヌ地区住民
  2. 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律第20 条の規定に基づく中高年齢失業者等求職手帳を所持する者
  3. その他教育・就労環境等により安定所長が就職が著しく困難であると認める者であって35歳以上の者

1-6.その他

常用就職支度手当の受給要件における就職困難者には、「就職時に45歳以上の者」も含まれます。

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2.雇用保険給付におけるメリット

就職困難者は雇用保険の基本手当給付においていくつかの優遇措置を受けられます。

※ただし、基本手当の受給資格を得た時点で就職困難者の状態でなければなりません。受給資格決定後に就職困難者の状態になった場合は除外されます。

2-1.求職活動回数が少なくて済む

失業時に基本手当(失業給付)を受ける場合、通常、4週間の間に原則として2回以上求職活動を行う必要があります。
しかし、就職困難者の場合は、求職活動が1回以上で済みます。


2-2.基本手当を受給できる日数が長い

合計で何日分の基本手当をもらえるか(所定給付日数)は、失業前に雇用保険に加入していた期間、失業時の年齢、失業に至った理由などによって決まります。
就職困難者の場合は、その他の者に比べて全般的に所定給付日数が長めに設定されています。


就職困難者の所定給付日数

失業時の
年齢
雇用保険の加入期間
半年以上1年未満1年以上
45歳未満150日300日
45〜64歳360日

就職困難者以外(自己都合で退職した者)

失業時の
年齢
雇用保険の加入期間
1年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
全年齢90日120日150日

就職困難者以外(その他)

失業時の
年齢
雇用保険の加入期間
半年以上
1年未満
1年以上
5年未満
5年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
30歳未満90日90日120日180日-
30〜34歳180日210日240日
35〜44歳240日270日
45〜59歳180日240日270日330日
60〜64歳150日180日210日240日

2-3.常用就職支度手当が受けられる

常用就職支度手当とは、基本手当の受給資格がある就職困難者が安定した職業への就職が決まった時に、所定給付日数が残っている場合に支給される一時金のことです。

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