雇用保険の就職促進給付 「就業手当」 |
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基本手当(失業手当)の受給資格がある失業者が"早期に"再就職した場合、雇用保険による給付が受けられます。
正社員のように長期間安定した雇用が見込まれる形で就職した場合は「再就職手当」が支給されます。それに対し、派遣社員、パート、アルバイトのように雇用契約期間が短い場合に支給されるのが「就業手当」です。
就業手当をもらうためには以下の要件を全て満たす必要があります。
それぞれの要件について詳しく解説します。
雇用される期間が1年未満でなければなりません。主に派遣社員、パート、アルバイトなどの非正規雇用が該当しますが、これらの雇用形態でも雇用期間が1年以上なら対象外です。
雇用期間が1年以上の場合は再就職手当の支給対象となります。よって再就職手当と就業手当を両方受給することはできません。
所定給付日数、つまり基本手当を何日分もらえるかは、雇用保険の加入期間や年齢、退職理由などによって決まります。(参考:基本手当の給付日数)
再就職が決まった時点で、所定給付日数の1/3以上が残っており、更にその残日数が45日以上でなければなりません。
例えば所定給付日数が90日の人が、就職が決まるまでに52日分の基本手当を受給していたとすれば、残日数は38日です。この場合、1/3以上(30日以上)という条件は満たしますが、45日以上ではないため就業手当はもらえません。
雇用保険の受給資格を得た日から7日間の期間を待期期間といいます。待期期間は雇用保険による各種給付を受けられないことになっているため、この期間内に就職した場合は就業手当の対象から外れます。ただ、基準となるのは就職の内定日ではなく初出勤日です。7日間の間に就職が内定しても、出勤日が7日間の後であれば問題ありません。
また、例え出勤日が待期期間後であっても、受給資格を得た日より前に既に就職の内定が決まっていた、つまりハローワークで求職活動をする前から就職が内定していた場合は就業手当はもらえません。
失業直前に勤めていた会社に再就職した場合は就業手当の支給対象とはなりません。また、その会社と資本・資金・人事・取引面で密接な関わりのある会社であってもダメです。
こうした会社への就職は会社内での転勤や配置換えに近い位置づけであり、やむを得ない事情による失業を経ての就職とはみなされません。
自己都合で退職した者は、雇用保険の待期期間の直後に更に3ヶ月の給付制限を受けます(参考:基本手当の給付開始日)。
この給付制限を受けている者については、7日間の待期期間が過ぎた後の1ヶ月の間に就職した場合、ハローワークか職業紹介事業者の紹介によって決まった就職でなければならないという決まりがあります。就職情報誌やチラシを見て自分で申し込んだり、知人の紹介による就職など、ハローワーク等を通さずに就職が決まったケースは就業手当の対象外となります。1ヶ月が過ぎた後の就職ならこうした制限はありません。
職業安定法における職業紹介事業の許可を取得している、または同事業を行う届出をしている民間の職業紹介事業者です。大手の派遣会社や有名な就職支援サイトを運営する会社などは、この事業者になっているケースが多いため、民間の就職サービスを利用した場合は運営会社に確認してみましょう。
一度は就職が決まったものの、就業手当の申請手続きを行う前に退職してしまった場合は対象外となります。
実際にどのくらいの就業手当がもらえるのか解説します。
就業手当の支給額は以下の計算式で決まります。
1日あたりの支給額には上限があり、離職時の年齢が60歳未満の場合は1,831円、60歳以上の場合は1,482円です(令和2年7月末まで)。上限額は毎年8月1日に改定されます。
30歳の労働者で、基本手当日額が5,000円、失業認定日までの間に就職先で働いた日数が20日の場合
就業手当の申請は、ハローワークで4週間に一度行われる失業認定の日に行います。つまり、基本手当の代わりに就業手当の手続きを行うわけです。
失業認定日にハローワークへ以下の必要書類を提出しましょう。
給付金は基本手当と同じく、指定した銀行口座に一括して入金されます。