雇用保険とはどんな制度? |
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雇用保険とは、従業員の雇用の安定や促進を目的として作られた公的な保険制度です。
様々な給付制度があり、失業した際に一定期間給付金を受け取ることができる「基本手当(失業給付)」がよく知られています。以前は失業保険や失業手当と呼ばれていたものです。
そうした求職者向け給付以外にも、以下のような現在働いている労働者向けの給付もあります
労働者・失業者向けの雇用保険給付にどのようなものがあるのかは別項で詳しく紹介しています。
雇用保険の加入者(被保険者)も雇用形態や年齢によっていくつかの種類に分けられます。それぞれ被保険者となるための条件、給付の種類・内容などが異なります。
従業員の失業を防ぐために、会社、主に中小企業を対象として様々な助成金や給付金が支給されます。
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会社に対する給付は、「積極的に失業者を雇用したり職業訓練を行っている」、「高年齢者・障害者・母子家庭の母などの就職困難者を雇い入れている」、「育児や介護による休業取得を促進している」、「賃金や労働時間など労働条件の向上を図っている」など、雇用の促進や職場環境・労働条件の改善に積極的に取り組む会社を対象としたものです。
非常に多種多様な給付があるため、ここでの解説は省略します。
【参考サイト】
社会保険という場合、医療保険(健康保険)、年金保険、介護保険の3つのことを指すケースが多いです。しかし広い意味での社会保険とは、日本の社会保障制度の一つで、病気やケガ、事故、失業、老後の生活などのリスクに備えて、国民の生活を保障するために設けられた公的な保険制度です。
広義の社会保険には、「医療保険(健康保険)」、「年金保険」、「介護保険」、「雇用保険」、「労災保険」の5つが含まれます。また、雇用保険と労災保険を合わせて「労働保険」とも呼びます。
会社や個人事業所の区別なく、労働者を1人でも雇用する事業所は原則として雇用保険の適用事業所となり、そこで働く全ての一般社員は雇用保険への加入が義務付けられます(一定の要件を満たす農林水産業は例外あり)。
より厳密に言うと、「会社に常用使用される満65歳未満の従業員」です。こうした人を雇用保険の一般被保険者と呼びます。
※制度改正により平成29年1月1日以降は65歳未満という年齢制限はなくなります。
「常時使用される」とは、雇用契約書の有無などとは関係なく、労務の対償として給与や賃金を受けるという使用関係が常用的であることをいいます。試用期間中でも報酬が支払われる場合は、使用関係が認められることとなります。
結論から言えば、正社員・一般社員であれば例え試用期間中であっても問題なく常用使用に該当します。
雇用保険の一般被保険者となるのは65歳未満と解説しましたが、これは65歳になった日以後に"新たに"雇用保険に加入することができないということです。64歳以下で既に雇用保険に加入している人が65歳以上になった場合は引き続き雇用保険に加入し続けることができます。ただしこの場合、雇用保険の「一般被保険者」ではなく、「高年齢継続被保険者」という種類に変わります。
労働者を1人以上雇用する事業所であっても、例外として「労働者が常時5人未満の個人経営の農林水産事業(船員を雇用する事業は除く)」については雇用保険への加入が任意の「暫定任意適用事業」となります。
こうした個人事業所が雇用保険に加入する場合は、労働者の1/2以上の同意を得た上で労働局長に任意加入の申請を行う必要があります。認可された場合は、加入に同意しなかった労働者も含めて全て被保険者になります。
派遣社員やパートタイマーなどの非正規従業員が雇用保険の一般被保険者となるには、以下の条件をすべて満たす必要があります。
「2」の雇用期間の条件を満たすのは以下のようなケースです。
雇用保険における日雇い労働者とは、雇用期間の定めがなく日ごとに単発の仕事をしている人や、または雇用期間が30日以内の人を指します。
建設現場や港湾運輸、農林水産などの土工、荷扱夫、雑役、人夫などの仕事に多いです。
日雇労働者の場合、雇用保険に加入するための前提条件は「雇用保険の適用事業所に雇用されている」の一点だけです。契約期間や勤務時間数などの細かな条件はありません。あとは所定の加入手続きを行えば日雇労働被保険者になります。
※日雇労働者であっても、同じ事業主の元で31日以上継続して日雇で働いたり、2ヶ月続けて18日以上日雇いで働いている場合は、フルタイムの一般社員と同じ一般被保険者となります。
該当する場合は会社やハローワークに相談しましょう。
日雇以外の雇用形態の場合、雇用保険の加入条件を満たしていれば会社が加入手続きを行います(行わなければなりません)。
しかし日雇労働者の場合は一つの会社で働く期間が短く、日ごとに別の会社で働くケースもあることから、日雇労働被保険者となるための手続きは労働者本人が行う必要があります。
具体的には、雇用保険の適用事業所で日雇いで仕事を始めたら、速やかにハローワークへ行って日雇労働被保険者資格取得届を記入し、住民票の写しかまたは住民票記載事項証明書を添えて提出します。内容に特に問題がなければ認可され、日雇労働被保険者手帳が配布されます。
日雇い労働者が失業した場合、所定の条件を満たしていれば基本手当(失業手当)の代わりに日雇労働求職者給付金という失業給付が受けられます。
基本手当等の場合は失業後にハローワークを訪れて手続きを行うことになりますが、日雇労働求職者給付金を受ける場合は、在職中から所定の手続きを継続して行う必要があります。詳細は別項で解説しています。
季節的労働者とは、雇用契約期間が1年未満で、かつ、仕事の内容が季節の影響を強く受けるもので特定の季節のみ雇用される人を指します。スキー場で冬場のみ雇用される人などが良い例です。
こうした労働者の場合、以下の要件を全て満たした場合に限り、雇用保険の短期雇用特例被保険者となることができます。
短期雇用特例被保険者が失業した場合、所定の条件を満たしていれば基本手当(失業手当)の代わりに特例一時金という失業給付が受けられます。