雇用保険の就職促進給付 「移転費」 |
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公共職業安定所(ハローワーク)の紹介によって決まった就職先に勤務するため、またはハローワーク等で募集している公共職業訓練等を受講するために、転居(引っ越し)が必要になった場合に、その移転に要する費用が支給されるものです。
本人だけでなく、その家族(本人により生計を維持されている同居の親族)も一緒に転居する場合は、全員分の移転費用が支給されます。
まず、失業後にハローワークに離職票を提出して、雇用保険の受給資格を得ていること、つまり雇用保険受給資格者証を持っていることが前提です(参考)。
そのほかに、以下の要件を全て満たしていなければなりません。
それぞれの要件について詳しく解説します。
会社への通勤や公共職業訓練受講のために、住む場所が変わることが前提条件です。住民登録の変更を行ったかまでは問われず、実際に住む場所が変わっていれば問題ありません。「住所」とは住民票のある所、「居所」とは住民票を移していないが今住んでいる所を指します。
転居が必要になった理由が以下のいずれかに該当する必要があります。
就職先の会社(事業主)によっては、就職準備金や、その他移転に要する費用が支給される場合があります。
こうした会社からの費用負担を受けていない、または受けていても実際に移転にかかった費用よりも少ない場合のみ移転費の支給対象となります。
※後者の場合、費用負担を受けた金額分、移転費の支給額が減ります。
雇用保険の受給資格を得た日から7日間の期間を待期期間といいます。また、自己都合で退職した者は、待期期間の直後に3ヶ月の給付制限期間があります(参考:基本手当の給付開始日)。
これらの期間は雇用保険による各種給付を受けられないことになっており、この期間内に就職、または公共職業訓練の受講が決まった場合は移転費の支給は受けられません。
就職の場合、ハローワークの紹介によるものでなければなりません。民間の職業紹介事業者による紹介や、就職情報誌やチラシなどを見て自分で応募した場合などは対象外となります。
また、雇用契約期間が1年以上でなければなりません。
移転費には、鉄道賃、船賃、航空賃、車賃、移転料、着後手当の6種類があります。
移転費を申請する際に、移転費支給申請書という書類を提出しますが、そこに本人および同居家族の転居の際に利用した移動手段、移動距離、かかった運賃等を記載します。移動ルートは順路、つまり寄り道なしの最短ルートでなければなりません。
内容に虚偽や不備がなければ、原則としてかかった費用が全額支給されます。
※就職先の会社(事業主)から移転に要する費用が支給された場合は、その金額分が控除されます。
転居が済んだら、移転先の居住地を管轄するハローワークで速やかに移転費の申請を行いましょう。
移転の日の翌日から1ヶ月以内に、以下の必要書類を提出して手続きを行わなくてはいけません。
申請後に審査が行われ、承認されれば「移転証明書」と「移転費支給決定書」が交付されます。
この2つの書類が届いたら、本人から就職先に提出します。
移転証明書は、就職先に証明をもらった後、就職先からハローワークに返送するよう依頼します。
移転費支給決定書は、提出・確認後に本人に返してもらいます。
その後、ハローワークで所要の処理が行われた後に、指定した銀行口座に移転費が振り込まれます。
以下のようなケースでは移転費は支給されず、また既に支給されていた場合は返還する必要があります。