基本手当(失業手当・失業保険)の給付における「就職困難者」について |
心身に障害のある者(障害者)などは「就職困難者」とされ、それ以外の者よりも長い期間、基本手当(失業給付)を受給できたり、受給に必要な求職活動の回数が少なくて済むなどの優遇措置を受けられます。
どういった人が就職困難者に該当するのか、及び、基本手当の給付においてどういったメリットがあるのか解説します。
<目 次>
就職困難者に該当するのは、身体障害者、知的障害者、精神障害者、保護観察中の者、社会的事情により就職が著しく阻害されている者等です。
それぞれ詳しく解説します。
身体障害者の確認は、求職登録票又は身体障害者手帳により行うものとするが、身体障害者とは具体的には次の身体障害がある者をいう
知的障害者とは、児童相談所、知的障害者更生相談所、精神保健福祉センター、精神保健指定医又は法第19条の障害者職業センターにより知的障害があると判定された者をいうものであり、その確認は、求職登録票又は療育手帳により行うものとする
精神障害者とは、障害者のうち次の1又は2のいずれかに該当するものであって、症状が安定し、就労が可能な状態にある者をいう
刑法第25条の2第1項、更生保護法第48条又は売春防止法第26条第1項の規定により保護観察に付された者及び更生保護法第85条第1項各号に掲げる者であって、その者の職業のあっせんに関し保護観察所長から安定所長に連絡があった者
以下のいずれかに該当する者
常用就職支度手当の受給要件における就職困難者には、「就職時に45歳以上の者」も含まれます。
就職困難者は雇用保険の基本手当給付においていくつかの優遇措置を受けられます。
※ただし、基本手当の受給資格を得た時点で就職困難者の状態でなければなりません。受給資格決定後に就職困難者の状態になった場合は除外されます。
失業時に基本手当(失業給付)を受ける場合、通常、4週間の間に原則として2回以上求職活動を行う必要があります。
しかし、就職困難者の場合は、求職活動が1回以上で済みます。
合計で何日分の基本手当をもらえるか(所定給付日数)は、失業前に雇用保険に加入していた期間、失業時の年齢、失業に至った理由などによって決まります。
就職困難者の場合は、その他の者に比べて全般的に所定給付日数が長めに設定されています。
就職困難者の所定給付日数
失業時の 年齢 | 雇用保険の加入期間 | |
---|---|---|
半年以上1年未満 | 1年以上 | |
45歳未満 | 150日 | 300日 |
45〜64歳 | 360日 |
就職困難者以外(自己都合で退職した者)
失業時の 年齢 | 雇用保険の加入期間 | ||
---|---|---|---|
1年以上 10年未満 | 10年以上 20年未満 | 20年以上 | |
全年齢 | 90日 | 120日 | 150日 |
就職困難者以外(その他)
失業時の 年齢 | 雇用保険の加入期間 | ||||
---|---|---|---|---|---|
半年以上 1年未満 | 1年以上 5年未満 | 5年以上 10年未満 | 10年以上 20年未満 | 20年以上 | |
30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | - |
30〜34歳 | 180日 | 210日 | 240日 | ||
35〜44歳 | 240日 | 270日 | |||
45〜59歳 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 | |
60〜64歳 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
常用就職支度手当とは、基本手当の受給資格がある就職困難者が安定した職業への就職が決まった時に、所定給付日数が残っている場合に支給される一時金のことです。